車座「ものづくりを語る会」
  • 2026.6.22

★多摩ものづくり未来応援塾・特別レポート

本音で語る、製造業の未来!
車座「ものづくりを語る会」開催レポート

ものづくり企業の経営者や現場の実務者が一堂に会し、リアルな現場課題や経営の方向性を共有する新しい試み、車座「ものづくりを語る会」がスタートしました!一方的な講演を聞くだけの場ではなく、参加者同士が対等に熱く語り合う「車座形式」。令和7年11月28日に開催された第1回の濃密な議論の様子を、分かりやすくレポートします!

📅 開催概要

【日時】  令和7年11月28日(金) 18:00~20:00
【場所】  東京都商工会連合会 2階会議室
【趣旨】  現場で直面している課題を持ち寄り、相互に学び合う。理論ではなく、実務に即した再利用可能な知見を蓄積する運営方針。

🎤 メインスピーカー(講師)紹介

佐藤 文典 氏

学生時代よりアマチュア無線をはじめとする電気・電子分野に没頭し、実践的な技術基盤を構築。大学でも工学系分野を専攻。創業期には結晶素材の生成から製品加工までを自社で一貫して担うなど、製造業の深部に携わる。その後、自衛隊関連の特殊かつ大規模な業務を経験したのち家業へ参画。大組織の優れた仕組みと、中小製造業のリアルな現場感覚の双方を併せ持つ、実践派の経営者・技術者。


【Episode 1】技術者としての原点:無線への没頭と「一貫生産」へのこだわり

今回のメインスピーカーである佐藤文典氏の原点は、学生時代に没頭したアマチュア無線にありました。単なる趣味の枠を超え、自ら手を動かし、試行錯誤を繰り返す中で通信技術や信号処理の実践的な基礎を構築。この「現場で突き詰める姿勢」が、技術者としての思考様式を形作りました。

さらに創業期には、なんと「結晶素材を自ら生成し、それを加工して製品化する」という、素材から製品までを自社で一貫して担うプロセスを実践。この驚くべき原体験が、のちの「内製化志向」や「一貫生産体制」という経営哲学へ脈々と受け継がれることになります。


【Episode 2】異次元のスケールと、経営に活きる「即決の仕組み」

佐藤氏はかつて、自衛隊関連の業務という、一般的な製造業とは大きく異なる特殊な環境に従事していました。そこで扱う案件は、日常的に数千万円単位。その後、自社に戻った際に直面した数千円単位の製品を扱う現実とのギャップに、事業環境の大きな違いを強く認識したと言います。

🎯 大組織の経験から現在の経営に導入した「最強の会議術」

特筆すべきは、当時の組織で行われていた「会議運営と議事録の扱い」です。会議終了後、その場で即座に内容を確認し、参加者全員で合意を形成するプロセスが徹底されていました。この「リアルタイムでの確認作業」は、意思決定の精度を劇的に高め、責任を明確化する手法として、現在の経営にも絶大な影響を与えています。


【Episode 3】事業承継のリアル:組織の抵抗を乗り越える「対話」

家業に参画した際、待ち受けていたのは「すでに確立された組織」という壁でした。営業、総務、生産の各部門に長年支えてきた責任者がおり、絶妙な均衡が保たれていた組織にとって、外部(後継者)からの変化は必ずしも歓迎されるものではありませんでした。

⚠️ 正論だけでは組織は動かない

どんなに正しい施策であっても、既存メンバーとの信頼関係と段階的な合意形成がなければ、決して実現には至りません。単なる「後継者」の枠にとどまらず、伝統を尊重しながらも、時代に応じた変革をどう進めるか。自らの経営スタイルを確立していくプロセスの重要性が共有されました。


【徹底討論】製造現場が直面する課題と、これからの生存戦略

後半の車座トークでは、中小製造業がリアルに直面している課題について深い議論が交わされました。参加者から上がった5つの重要論点をひとつのエリアにまとめて整理します。

🛠️ ① 多品種少量生産の「非効率」をどう超えるか

「実際の加工時間よりも、準備(段取り替え)時間の方が長い」という、稼働効率低下のリアルな悩み。製品ごとの柔軟な対応が求められるため標準化が難しく、どうしても人の判断や技能に依存する現場の実態が浮き彫りになりました。

🤖 ② 設備投資の盲点:自動化と人の役割分担

高額な機械を導入すれば生産性が上がるわけではない、という慎重な投資視点。人手不足だからとすべてを自動化するのではない、変化の激しい現場だからこそ、柔軟に対応できる「人」の強みを活かした適切な役割分担が重要です。

💡 ③ 技術の応用:異分野融合が生み出す新しい価値

音響技術や信号処理の分野に見られる「複数の要素を組み合わせて成果を生み出す手法」を、製造業に応用する提案。技術を単体で捉えず、他分野や市場と組み合わせる視点が、従来にない製品やサービスを創出します。

📈 ④ 生産体制の強化:他社と差別化する「内製化」

外注していた工程を自社で担うことで、品質管理や納期対応の柔軟性が飛躍的に向上。部品加工から組立までを自社で一貫して行う体制を構築することは、顧客からの圧倒的な信頼獲得と、他社との大きな差別化につながります。

👥 ⑤ 人材・組織:求められる「横断的視点」と対話力

これからの人材に重要なのは、高い技術力だけでなく、外部とのコミュニケーション能力です。特に営業職として顧客と直接接する経験は、製品開発や経営判断に重要な示唆を与えます。単一の専門にとどまらない育成が求められます。

   

📌 車座「ものづくりを語る会」が残した、5つの未来への示唆

    • 現場主義の意思決定

      理論にとらわれず、泥臭い「現場の現実」に即して判断する。

    • 見極める設備投資

      自動化を盲信せず、「人と機械」の強みを最適に分担する。

    • 技術の異分野応用

      自社の知見を別市場と組み合わせ、新たな価値を創出する。

    • 内製化での差別化

      一貫生産体制を築き、他社が真似できない競争力を磨く。

  • 横断的人材の育成

    技術力だけでなく、高い対話力を持つ「動ける人材」を育てる。

本会で浮き彫りになった論点は、まさにこれからの多摩、そして中小製造業が生き残るための重要な羅針盤です。東京都商工会連合会では、今後もこうした「継続的な対話の場」を定期的に設け、各企業の実践を全力でサポートし、知見の共有と深化を図ってまいります!