「よし、値上げだ!」と勢いだけで進めるのは危険です。次の5つのステップで着実に進めていきましょう。
① 現状分析 ② 価格設定 ③ 社内調整 ④ 顧客説明 ⑤ 代替価値の提案
5つのステップを詳しく見ていきましょう👉
① 現状分析:「値上げの理由」を明確にする!
お客様に「なぜ値上げするの?」と聞かれたとき、しっかりと答えられますでしょうか?感覚で「仕入値が上がったから」では説得力がありません。
何が、どれくらい上がったのか?
- 例えば、「卵の価格が20%上がった」「電気代が昨年の1.5倍になった」など、具体的な数字を把握しましょう。
- 原材料費、燃料費、人件費、物流費など、どのコストが影響しているのかを整理しましょう。
頑張ったことも伝える!
‟ 値上げは本意ではない ”という姿勢を示すことも大切です。「無駄をなくす努力は最大限行いました」「生産効率を上げるために工夫しました」など、自社の努力も伝えましょう。
② 価格設定:「適正な価格」を設定する!
自分の商品やサービスに、きちんと利益が乗っているか、改めて計算してみましょう。
コスト + 適正利益 = あなたの商品の価値
単に仕入れ値に上乗せするだけでなく、あなたの技術、時間、経験、そしてお客様に提供する「価値」も考慮して、自信を持って提示できる価格を考えましょう。
③ 社内調整:社員みんなで共有しよう!
価格を設定したら、社員全員がきちんと説明できるよう、情報共有と教育をおこないましょう。顧客からの反発や値下げ交渉に備えることも大事です。
経営方針の明確化+共有=社員のモチベーション向上
「価格転嫁」をおこなう意識を社内で共有し、方針の明確化をおこないましょう。「価格転嫁」が正しくおこなわれていれば、利益が創出でき、賞与の支給や人材育成など社員に還元できる体制が構築できます。
結果、社員のモチベーションも上がり、風通しの良い職場づくりに繋がります。
④ 顧客説明:お客様へ「丁寧な説明」を!
値上げを伝えることは、気が重いかもしれません。でも、誠意を持って伝えることが取引先/お客様との信頼関係を深めます。
早めに、丁寧に伝える!
事前に「〇月〇日より価格を改定させていただきます」と告知期間を設けるなど、お客様に心の準備をしてもらいましょう。
伝える内容のポイント
- 価格改定の事実:いつから、何が、いくらになるのか。
- 価格改定の理由:ステップ①で整理した内容を分かりやすく。
- これまでの感謝と今後の決意:「今後も変わらぬ品質とサービスを提供してまいります」というメッセージ。
書面での説明も有効
貼り紙、チラシ、メール、ウェブサイトなど、お客様が確認しやすい形で伝えましょう。
💡ポイント💡「交渉」を恐れない!
特にBtoB(企業間取引)の場合、交渉が必要な場面も多いでしょう。
具体的なデータで説得!
仕入れ価格の推移グラフ、人件費の上昇率など、客観的なデータは強力な武器になります。
代替案も準備!
「この価格では厳しい」と言われた場合、「この部分のサービスは調整できますが、いかがでしょうか?」など、別の提案もできるよう準備しておくと、交渉の幅が広がります。
時には「NO」も必要!
無理な要求を飲んでしまっては、あなたの事業が疲弊してしまいます。時には毅然とした態度も必要です。
⑤ 代替価値の提案:自社の魅力をきちんと把握!
原価分の値上げだけでは、「価格転嫁」がうまくいかないこともあります。自社独自のサービスの独自性や強みを正確に理解する必要があります。
付加価値の向上
原価分の単なる値上げではなく、提供する価値やメリットを把握し、正しく伝えることが大事です。
そのためには新たな付加価値の創出、新たな取組みや他社にはない強みの洗い出しをしましょう。
以上、「価格転嫁」を成功させるための5ステップでした。
「価格転嫁」を進めていく中で、様々な課題に直面することがあると思います。
「概要はわかったけど、なにから始めたらいいのか?」
「自社ではどのように取り組めばよいのか?」などなど。
その時は一人で抱え込まず、専門家の力を借りましょう。
お近くの商工会へ
皆さんの地域にある商工会は、最も身近な相談相手です。経営指導員が、個別の状況に応じたアドバイスや専門家派遣などの支援を行っています。
国の機関も活用
経済産業省や中小企業庁、公正取引委員会など、国も価格転嫁を後押しするための支援施策や相談窓口を設けています。
価格転嫁は、事業者の皆さんの努力だけでは難しい面もありますが、知恵と工夫、そして外部のサポートを上手に活用することで、必ず乗り越えられます。このWEBページの情報が、皆様の事業の明るい未来に繋がることを心から願っています。
ご不明な点や個別のご相談は、お近くの商工会までお気軽にご連絡ください!